慢性的な人手不足に悩む食品製造業界において、2019年に創設された在留資格「特定技能(飲食料品製造業)」は大きな役割を担っています。しかし、制度が複雑で「自社の業務が対象になるかわからない」「手続きが面倒」と二の足を踏んでいる事業者様も多いのではないでしょうか。

1.なぜ今、特定技能「飲食料品製造業」なのか?

日本の食品工場において、日本人だけでスタッフを確保するのは限界に達しています。これまで多くの工場現場を支えてきた「技能実習生」は、あくまで国際貢献・技術移転が目的であり、労働力としての活用には制限がありました。

そこで注目されているのが「特定技能(飲食料品製造業)」です。

特定技能外国人は、一定の技能と日本語能力を持っていることが試験で証明されており、フルタイムで日本人正社員と同じように働くことが可能です。また、酒類を除く飲食料品製造業に広く従事できるため、配置転換などにも柔軟に対応でき、将来の現場リーダー候補として期待できる制度なのです。

2.特定技能「飲食料品製造業」で任せられる業務内容

事業主や採用担当者にとって最も気になるのが「どこまでの仕事を任せられるのか?」という点でしょう。この分野では、酒類を除く飲食料品の製造・加工業務全般に従事可能です。

2-1. メイン業務

製造・加工原料の処理,加熱,殺菌,成形,乾燥等の一連の生産行為等。
安全衛生使用する機械に係る安全確認,作業者の衛生管理等,業務上の安全衛生及び食品衛生の確保に係る業務。

2-2. 関連業務

日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。関連業務に当たり得るものとして、例えば、次のものが想定されます。

  1. 原料の調達・受入れ
  2. 製品の納品
  3. 清掃
  4. 事業所の管理の作業

※専ら関連業務に従事することは認められません。

3.外国人本人の要件(誰を採用できるのか?)

特定技能「飲食料品製造業」のビザを取得するためには、外国人本人が以下の2つの試験に合格している必要があります。

3-1. 技能試験

「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」への合格が必要です。 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施しています。HACCP等による一般的な衛生管理、労働安全衛生に係る知識が問われます。

※特定技能2号の場合:「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」および一定の実務経験が必要となります。

3-2. 日本語試験

以下のいずれかの試験に合格することが求められます。

  • 日本語能力試験(JLPT): N4以上
  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

3-3. 技能実習生からの移行

「食料品製造」に関連する職種(例:パン製造、惣菜製造業など)で技能実習2号を良好に修了した人は、上記の試験が免除されます。 上記以外の技能実習2号を良好に修了している場合、技能試験は免除になりませんが、日本語試験は免除されます。

4.受け入れ事業者側の要件

外国人労働者を雇うためには、受入機関側も以下の要件を満たす必要があります。

4-1. 特定技能共通の要件

  1. 労働条件(労働時間・報酬額等)が同種の業務に従事するフルタイム雇用の日本人と同等以上。
  2. 直接雇用であること(派遣形態は不可)
  3. 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守している。
  4. 1年以内に受入れ企業の責めに帰すべき事由により外国人(技能実習生と特定技能外国人)の行方不明者を発生させていない。
  5. 財務状況が良好
  6. 違約金を定める契約等を締結していない。          など

4-2. 飲食料品製造業特有の要件

対象となる産業分類に該当すること日本標準産業分類における「食料品製造業(中分類09)」「清涼飲料製造業(小分類101)」などに該当する製品を製造している事業所であること。
キャリアアップ計画の作成外国人に書面を交付し説明
協議会への加入「食品産業特定技能協議会」への加入が必要です。特に初めて受け入れる場合は、申請前の加入手続きが必須化されています。

5.「支援計画」の策定と実施

特定技能制度の最大の特徴であり、雇用主にとって高いハードルとなるのが「1号特定技能外国人支援計画」です。 特定技能1号の外国人は、生活や仕事にまだ不安があることが多いため、事業者は以下のような支援を行う義務があります。

項目支援内容
1. 事前ガイダンス労働条件、活動内容、日本での生活情報などの説明
2. 出入国する際の送迎空港などへの送迎
3. 住居確保・生活に必要な契約支援社宅・寮の提供、連帯保証人対応、銀行口座開設の補助など
4. 生活オリエンテーション円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、ゴミ出し等の説明
5. 公的手続等への同行住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
6. 日本語学習の機会の提供日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等
7. 相談・苦情への対応職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応
8. 日本人との交流促進地域住民との交流の場、地域のお祭りなどの行事の案内や参加の補助等
9. 転職支援(人員整理等の場合)受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先支援等
10. 定期的な面談・行政機関への通報支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談

「登録支援機関」への委託

これらの支援を自社で実施することが困難な場合、出入国在留管理庁に登録された「登録支援機関」に支援の実施をすべて委託することができます。

6.採用から就労開始までのフロー

ここでは、すでに日本国内にいる外国人を特定技能として採用する場合(在留資格変更許可申請)の流れをご案内します。

  1. 人材募集・内定
  2. 登録支援機関との契約(委託する場合)
  3. 事前ガイダンス・健康診断
  4. 雇用契約締結
  5. 協議会への加入申請など
  6. 在留資格変更許可申請
  7. 許可・在留カード更新
  8. 就労開始

7.特定技能2号

以前は飲食料品製造業は「1号(最長5年)」のみでしたが、現在は、飲食料品製造業も「特定技能2号」の対象分野に追加されました。特定技能2号は、1号よりも高い専門性と熟練技能を持つ外国人が対象の資格です。

主な特徴

  1. 在留期間:更新制限なし(無期限)
  2. 家族帯同:可能(配偶者・子ども)
  3. 技能レベル:現場の管理・監督ができるレベル

2号を取得した外国人は、現場リーダー・技能指導者などとして働くことも想定されています。また、2号へ移行すれば、将来的に永住権の取得も視野に入れた長期就労が可能になります。これは、優秀な外国人スタッフに長く働いてもらいたい飲食料品製造業の事業者にとって朗報です。

8.まとめ

特定技能「飲食料品製造業」は、深刻な人手不足を補う即戦力として、今後ますます重要な制度となっていきます。特に適正な衛生管理の知識を持った特定技能外国人は現場の貴重な戦力となります。

弊所では、特定技能「飲食料品製造業」をはじめとした各種在留資格申請についてサポートしております。外国人材の受け入れをご検討の事業者様は、ぜひお気軽にご相談ください。